CONTENTS
- 1. 勾留起訴に至った経緯、何が問題だったのか

- - 虚偽事実の流布からAI音声の加工まで…問題が拡大した理由
- 2. 本件で適用された主な容疑

- - 容疑1)情報通信網法上の名誉毀損
- - 容疑2)性暴力処罰法違反(カメラ等利用撮影物の頒布など)
- - 容疑3)強要未遂
- - 容疑4)ストーキング処罰法違反
- 3. 韓国政府が「フェイクニュースへの厳正な対応」を強調する理由

- - 生成AIによる音声加工、なぜ問題になるのか
- 4. 何について、どのように対応すべきか

- - デジタル証拠の確保及びフォレンジック対応
- - 投稿の経緯と事実関係の客観的な整理
- - 取調べ段階からの法的検討
- 5. 法務法人(有限)大倫によるサポート

1. 勾留起訴に至った経緯、何が問題だったのか
キム代表は、YouTubeのライブ配信や記者会見などを通じ、俳優キム・スヒョン氏が故キム・セロン氏と同氏の未成年時から交際しており、キム・セロン氏の死亡にはキム・スヒョン氏側による債務返済の圧力が影響したと繰り返し主張しました。
その過程で、生成AIを利用してキム・セロン氏の音声を加工したファイルを公開し、キム・スヒョン氏の私的な写真を放送で流すなど、私生活に関する資料を相次いで公開しました。
また、キム・スヒョン氏の私生活に関する資料を追加で暴露できると主張し、キム・スヒョン氏に公開謝罪を要求することもありました。
これを受け、ソウル中央地方検察庁女性児童犯罪捜査第2部は、キム代表を情報通信網法違反(名誉毀損)、性暴力処罰法違反、ストーキング処罰法違反などの容疑で勾留起訴しました。
現在、キム代表は勾留された状態で裁判を控えており、初公判は2026年7月24日に開かれる予定です。
虚偽事実の流布からAI音声の加工まで…問題が拡大した理由
本件は、YouTube配信と記者会見を通じて犯罪行為が繰り返されたという点で注目されています。
キム代表は犯行当時、生成AIを活用した音声ファイルの公開、私的な写真の公開、さらなる暴露を予告する発言などを続けました。
このため、本件は、オンライン上での虚偽事実の流布とAIを利用した虚偽コンテンツが刑事処罰の対象として本格的に扱われているという点で、社会的関心が集中しています。
2. 本件で適用された主な容疑

本件は、著名な芸能人を対象に、社会的影響の大きいオンライン上で虚偽事実を流布し、非難する世論を形成したという点で注目されています。
キム代表に適用された容疑には、情報通信網法上の名誉毀損、性暴力処罰法違反(カメラ等利用撮影物の頒布など)、強要未遂、ストーキングなどがあります。
捜査機関はインターネット配信や記者会見などを通じた虚偽事実の流布、私的な写真の公開、脅迫的な発言などが被害者に重大な被害をもたらしたとみて、各容疑を適用しました。
容疑1)情報通信網法上の名誉毀損
情報通信網法上の名誉毀損は、インターネット、SNS、YouTubeなどの情報通信網を利用し、他人の社会的評価を低下させ得る事実を公開した場合に成立する可能性がある犯罪です。
① 人を誹謗する目的で、情報通信網を通じて公然と事実を明らかにし、他人の名誉を毀損した者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は2,000万ウォン以下の罰金に処する。
② 人を誹謗する目的で、情報通信網を通じて公然と虚偽の事実を明らかにし、他人の名誉を毀損した者は、7年以下の懲役、10年以下の資格停止又は5,000万ウォン以下の罰金に処する。
本件では、YouTube配信とオンライン投稿を通じて虚偽事実を繰り返し流布したという点について、捜査機関は容疑の構成要件を満たすと判断しました。
捜査機関は、投稿内容の真偽とともに、投稿目的、表現方法、拡散範囲などを総合的に確認する可能性が高いと考えられます。
容疑2)性暴力処罰法違反(カメラ等利用撮影物の頒布など)
性暴力処罰法は、相手方の意思に反して撮影物や複製物を配布又は公開する行為を処罰しています。
① カメラその他これに類する機能を備えた機械装置を利用し、性的欲望又は羞恥心を誘発し得る他人の身体をその意思に反して撮影し、又はその撮影物を頒布・販売・賃貸・提供若しくは公然と展示・上映した者は、5年以下の懲役又は1,000万ウォン以下の罰金に処する。
② 第1項の撮影が撮影当時には撮影対象者の意思に反していなかった場合であっても、事後にその意思に反して撮影物を頒布・販売・賃貸・提供又は公然と展示・上映した者は、3年以下の懲役又は500万ウォン以下の罰金に処する。
本件のようなインターネット配信やオンライン投稿も、同法にいう頒布行為に含まれる可能性があります。
韓国大法院も、2018年8月1日言渡しの2018ド1481判決において、次のように判示しています。
性暴力犯罪の処罰等に関する特例法(以下「性暴力処罰法」という)第14条第1項が、撮影行為だけでなく、撮影物を頒布・販売・賃貸・提供又は公然と展示・上映する行為まで処罰するのは、性的欲望又は羞恥心を誘発し得る他人の身体を撮影した撮影物が、インターネット等の情報通信網を通じて急速かつ広範囲に流布されることにより、被害者に甚大な被害と苦痛をもたらすという社会的問題を考慮し、責任又は非難可能性が撮影行為に劣らず大きいといえる撮影物の流布行為をした者を、撮影者と同様に処罰するためである。
この判例の趣旨に従い、捜査機関は本件において、キム代表がインターネット配信などを通じて私的な写真を公開した行為が被害を拡大させたとみて、関連する容疑を適用しました。
ただし、当該撮影物が法律上の処罰対象に該当するかどうかは、撮影物の性質、公開範囲、投稿目的などを総合的に考慮して裁判所が判断することになります。
容疑3)強要未遂
暴行又は脅迫により、人の権利行使を妨害し、又は義務のないことを行わせた者は、5年以下の懲役又は3,000万ウォン以下の罰金に処する。
強要罪は、相手方が暴行や脅迫によって実際に義務のないことを行い、又は権利行使を妨害されるという結果が発生して初めて成立する「結果犯」に該当します。
したがって、相手方が実際に義務のないことを行い、又は権利行使を妨害されて初めて犯罪が成立します。
強要罪とは、暴行又は脅迫により、人の権利行使を妨害し、又は義務のないことを行わせることをいい、ここでいう脅迫とは、客観的に人の意思決定の自由を制限し、又は意思を実行する自由を妨害する程度に恐怖を感じさせるに足りる害悪を告知することをいう。
上記の韓国大法院判例から分かるように、強要罪にいう脅迫が認められるには、相手方の自由な意思決定を制限する程度の害悪を告知する必要があります。
したがって、実際の発言や行為が脅迫に該当するか、また、それによって相手方の意思決定の自由が侵害されたかが、強要罪の成立を判断する重要な基準となります。
相手方が実際の要求に応じなかった場合でも、実行に着手していれば強要未遂が認められる可能性があります。
本件で捜査機関は、キム代表が公開謝罪を要求しながら私的な写真の公開などに言及した一連の行為について、被害者の自由な意思決定を制約しようとしたものとみて、強要未遂の容疑を適用しました。
容疑4)ストーキング処罰法違反
ストーキング犯罪を犯した者は、3年以下の懲役又は3,000万ウォン以下の罰金に処する。
ストーキングは、オフラインで相手方につきまとう行為だけを意味するものではありません。
また、ストーキング犯罪の処罰等に関する法律第2条に基づき、情報通信網を利用して特定の人物に文章、写真、映像、音声などを繰り返し送信又は投稿し、不安感や恐怖心を生じさせた場合にも、ストーキングが成立する可能性があります。
すなわち、本件のようなYouTube配信やSNS投稿など、オンライン上で行われた行為も、反復性と継続性が認められれば、ストーキング犯罪の対象となる可能性があります。
3. 韓国政府が「フェイクニュースへの厳正な対応」を強調する理由
近年、生成AI技術が急速に発展し、音声や映像を加工した虚偽コンテンツを容易に作成できるようになったことで、虚偽情報の拡散による社会的被害も一層拡大しかねないとの懸念が示されています。
特に、一度オンライン上に拡散した虚偽情報は、投稿が削除されたとしても、名誉毀損やプライバシー侵害などの被害が長期間続く可能性が高いといえます。
このため、韓国政府と捜査機関は、オンライン上での虚偽情報の流布や悪意あるコンテンツに対して、より厳正に対応する方針を明らかにしています。
生成AIによる音声加工、なぜ問題になるのか
生成AIを利用した音声加工自体を処罰する独立した犯罪規定は、現在のところ明確には存在しません。
ただし、AIで作成した音声を利用して虚偽事実を流布した場合や、ほかの犯罪を実行する手段として利用した場合には、その結果として行われた行為に対する刑事責任が問題となる可能性があります。
つまり、AI技術自体ではなく、それがどのような犯罪に利用されたのかが重要です。
近年、生成AIを利用した虚偽情報の流布やディープフェイク犯罪が増加する中、捜査機関もデジタル証拠の分析とフォレンジック捜査を強化する傾向にあります。
この過程で捜査機関は、音声や映像が加工されたものか、制作・編集の過程がどのようなものであったか、投稿者が虚偽であることを認識していたかなどを、客観的なデジタル資料に基づいて確認します。
したがって、関連する容疑をかけられた場合は、資料を任意に削除又は変更するのではなく、客観的なデジタル資料を保存し、事実関係を正確に整理して対応する必要があります。
4. 何について、どのように対応すべきか

虚偽事実流布の容疑をかけられた場合、投稿を削除するだけで問題が解決するわけではありません。
捜査機関は、フォレンジック捜査などを通じて、投稿、映像、音声ファイルなどのデジタル記録を確認できるため、速やかに事実関係を正確に整理し、容疑ごとの争点に応じて対応する必要があります。
デジタル証拠の確保及びフォレンジック対応
生成AIを利用した音声や映像による虚偽事実流布の容疑をかけられた場合、元のファイルであるか、編集や合成が行われたかどうかが主な争点となる可能性があります。
被疑者としては、音声・映像ファイルの作成時点、編集履歴、保存記録などの客観的なデジタル資料を確保し、必要に応じて、デジタルフォレンジック分析を通じて元データの有無や編集に至った経緯を確認する対応が必要です。
このような客観的なデジタル証拠は、容疑の成否や事実関係を判断する過程で重要な資料として活用される可能性があります。
投稿の経緯と事実関係の客観的な整理
オンライン上での虚偽事実流布の容疑をかけられた場合、どのような資料に基づいて投稿を作成し、又は配信を行ったのかが重要な争点となる可能性があります。
したがって、被疑者は、資料を入手した経緯、事実確認の過程、投稿目的などを客観的な資料とともに整理し、自らの主張を裏付ける必要があります。
取調べ段階からの法的検討
複数の容疑が同時に適用された事件では、すべての容疑に同じ方法で対応するのではなく、それぞれの構成要件と証拠を分けて検討しなければなりません。
被疑者は、捜査初期の段階から、自らの行為が各容疑の成立要件に該当するか、反論に用いることができる客観的な資料は何かを確認したうえで、取調べに臨む必要があります。
また、取調べの過程で提出する資料や供述は、起訴の可否や裁判手続においても重要な判断資料となる可能性があるため、法的争点を十分に検討したうえで一貫した立場を維持することが重要です。
5. 法務法人(有限)大倫によるサポート
名誉毀損や虚偽事実流布事件では、発言の全体的な文脈、事実確認の過程、デジタル証拠、投稿の経緯などを総合的に検討する必要があります。
韓国第9位の法律事務所である大倫(2025年の韓国国税庁への付加価値税申告基準)は、🔗刑事専門弁護士を中心に、事件初期から事実関係を分析し、情報通信網法・性暴力処罰法など、適用される可能性のある法律を総合的に検討します。
また、🔗デジタルフォレンジックセンターと連携し、投稿の原本、削除記録、メッセンジャーでの会話、音声・映像ファイル、AIによる編集の有無などを分析するとともに、🔗証拠調査センターとの連携を通じて客観的な資料を確保し、捜査機関に提出する意見書と弁護戦略を体系的に策定します。
法務法人(有限)大倫によるサポート内容
• オンライン投稿、コメント、携帯電話のメッセージ、メッセンジャーでの会話などの証拠資料に関する法的争点の検討
• 名誉毀損・強要など、適用された容疑ごとの弁護人意見書の作成及び捜査機関への対応
• 捜査段階から公判までの供述戦略の策定及び量刑資料の体系的な準備
オンライン上での虚偽事実流布事件は、投稿や映像が急速に拡散するため、事実関係を正確に整理し、対応戦略を速やかに策定することが重要です。
現在、関連する容疑をかけられている場合は、🔗法律相談予約を通じて事実関係を速やかに検討し、対応戦略を策定することをご検討ください。






