CONTENTS
- 1. 資産譲受渡契約 | 事件の概要

- 2. 資産譲受渡契約 | 大法院の判断

- - 代金支払を長期間猶予した取引は過大な経済上の利益供与となる可能性
- - 資産を先に引き渡し代金を後から受け取る構造は一般的な商取引慣行上異例
- - 流動性危機にある系列会社への支援意図が認められれば不当支援との判断を補強
- - 公正な取引を阻害するおそれは行為ごとに判断しつつ実質を考慮
- 3. 資産譲受渡契約 | 系列会社間の内部取引における違法性の判断基準

- - 責任判断のポイント
- 4. 資産譲受渡契約 | 企業向け実務チェックリスト

1. 資産譲受渡契約 | 事件の概要
資産譲受渡契約が問題となった本件は、大規模企業集団に属する系列会社間で行われた複数の取引のうち、特定の系列会社に有利になるよう取引条件が設計されていたかが核心的な争点となった事案です。
問題となった各社は、それぞれ流通業と衣料・雑貨の製造・販売業を営む系列会社であり、韓国公正取引委員会は、両社間の取引が内部取引の範囲を超え、特殊関係人および系列会社に対する不当な支援に該当すると判断しました。
公正取引委員会が問題とした行為は、大きく分けて次の3つでした。
② 衣料ブランド関連の資産譲受渡契約において、譲渡代金の支払を長期間猶予し、遅延利息も受け取らなかった行為
③ 両社の代表理事を兼任した人物の給与を一社が全額負担したことが人員支援行為に該当するか否か
原審の判断
原審は、本件の資産譲受渡契約について、資産譲渡の基準日後約3年にわたって代金が支払われ、別途の財務的な安全措置も遅延利息の賦課もなかったことから、相当に有利な条件による取引を通じた過大な経済上の利益供与が認められると判断しました。
2. 資産譲受渡契約 | 大法院の判断

資産譲受渡契約に関して、大法院は原審の判断を維持し、系列会社に相当に有利な条件で取引が行われ、その過程で公正な取引を阻害するおそれが認められると判断しました。
代金支払を長期間猶予した取引は過大な経済上の利益供与となる可能性
本件における資産譲渡の基準日は2014年7月1日であり、実際の資産はその頃から移転され始めました。
ところが、譲受会社が支払うべき譲渡代金は約511億ウォンに上ったにもかかわらず、支払が完了したのは約3年後の2017年6月でした。
問題は、譲渡会社が契約の過程で債務の履行を担保する財務的な安全措置を設定せず、代金の支払を積極的に督促することもなく、遅延利息が発生し得る状況でもこれを一切受領しなかったことです。
裁判所は、これらの事情を総合すると、譲受会社は未払譲渡代金に相当する資金を無利息で供与されたのと同様の経済的利益を享受したと評価できると判断しました。
結局、これは通常の取引条件と比べて過度に有利な条件で行われた取引であり、公正取引法上問題となる支援行為に該当し得るという趣旨です。
資産を先に引き渡し代金を後から受け取る構造は一般的な商取引慣行上異例
第2審と大法院が特に注目したのは、資産の移転がすでに行われていた一方で、譲渡代金の支払は長期間先送りされていた点です。
裁判部は、「譲渡代金の支払が完了する前に資産を譲渡したこと」自体が、一般的な商取引慣行に照らして極めて異例であると判断しました。
特に、相当な規模のブランド関連資産が移転され、その資産が将来的に安定した収益を生み出す可能性を有していた点まで考慮すると、このような取引構造を単なる決済の遅延とみることは困難であると判断したものです。
つまり、系列会社間の取引であっても、契約当事者が独立した経済主体であれば通常求めたはずの担保設定、期限管理、遅延損害金の賦課などがすべて欠けていた場合、裁判所はこれを形式上の契約ではなく、実質的な支援の仕組みとみるということです。
流動性危機にある系列会社への支援意図が認められれば不当支援との判断を補強
大法院は、資産譲渡代金の回収遅延および遅延利息の不受領行為は、単なる取引上の便宜供与ではなく、当時流動性危機に陥っていた系列会社を支援する意図の下で行われたものと判断しました。
これは、公正取引法上の不当な支援行為を判断するうえで重要な意味を持ちます。
系列会社間の取引は現実に頻繁に行われ得ますが、その取引が正常な価格・条件に基づくものではなく、特定の会社の資金事情を緩和する方向で設計されていた場合、それ自体によって公正な競争秩序を害する危険性が高まるためです。
公正な取引を阻害するおそれは行為ごとに判断しつつ実質を考慮
大法院は、不当な支援行為と特殊関係人に対する不当な利益供与行為の不当性については、原則として行為ごとに個別に判断すべきであることも改めて確認しました。
本件で裁判所は、資産譲受渡契約に関する行為と代表理事の給与の立替負担行為を一括して評価しませんでした。
むしろ、それぞれの行為が同一の意図や目的の下で行われた一連の行為であるかを検討したうえで、そうでなければ個別に不当性を審査すべきであると判断しました。
その結果、資産譲受渡契約に関する部分については公正な取引を阻害するおそれが認められましたが、代表理事の給与の立替負担部分については別個に捉え、その程度の競争制限性や経済力集中のおそれを認めることは困難であると判断しました。
3. 資産譲受渡契約 | 系列会社間の内部取引における違法性の判断基準
資産譲受渡契約という形式を整えていても、実際には、ある系列会社に長期間にわたって資金を無利息で使用させたり、流動性負担を軽減したりする効果が生じた場合、公正取引法上の不当な支援の問題につながる可能性があります。
特に、次のような要素が併存する場合、法的リスクが高まる可能性があります。
- 資産を先に移転しながら、代金の支払を長期間先送りする場合
- 取引相手の支払不能または流動性悪化の可能性を認識しながらも、担保を設定しない場合
- 支払期限を過ぎても、督促、回収措置、遅延損害金の請求を全く行わない場合
- 取引相手が同じ企業集団に属し、事実上、支援の必要性が存在していた場合
- 当該取引が市場競争に影響を及ぼし得る規模と性質を有する場合
今後、資産譲受渡契約をめぐる紛争では、代金をどのように回収したのか、なぜ遅延利息がなかったのか、その結果、相手方がどのような経済的利益を得たのかが、主な争点となる可能性が高いです。
責任判断のポイント
区分 | 実務上の主な判断ポイント | 企業が準備すべき資料 |
代表者・経営陣 | ・取引構造の設計への関与の有無 ・系列会社を支援する必要性の認識の有無 ・異常な条件の承認の有無 | ・取締役会議事録 ・社内報告書 ・承認文書 ・資金運用検討資料 |
財務・法務責任者 | ・代金回収計画の有無 ・遅延利息を請求しなかった理由 ・担保を設定しなかったことの合理性 | ・契約検討書 ・債権管理文書 ・担保検討資料 ・回収日程表 |
実務担当者 | ・代金支払の督促の有無 ・社内承認手続遵守の有無 ・支払期限管理の実態 | ・メール ・公文書 ・決裁文書 ・債権回収に関するコミュニケーション |
法人(企業) | ・取引が正常な価格・条件に基づいて設計されていたか否か ・特定の系列会社を支援する構造であるか否か | ・内部取引基準 ・特殊関係人取引の審査体制 ・コンプライアンスポリシー ・事後点検資料 |
4. 資産譲受渡契約 | 企業向け実務チェックリスト

資産譲受渡契約は、企業の構造調整、ブランドの移転、事業部門の再編、系列会社間の機能調整の過程で頻繁に利用されます。
しかし、本判決のように取引条件が異常に設計されている場合、公正取引法違反のリスクが現実化する可能性があります。
したがって、企業は次の事項を先行して点検する必要があります。
資産譲受渡契約は企業集団内の再編過程で頻繁に利用される契約であるため、取引目的と条件を設計する段階から公正取引法上のリスクを点検しなければなりません。
事後的に系列会社間の取引にすぎなかったと説明するよりも、当初から代金回収の仕組み、遅延利息、担保、承認手続を正常な取引に近い形で設計することがはるかに重要です。
法務法人大倫の公正取引専門弁護士は、本件に関連する法律専門家と連携し、資産譲受渡契約に関して、公正取引委員会の調査対応、不当な支援行為の法理検討、特殊関係人との取引構造の分析、契約書の点検、内部統制体制の整備までワンストップでサポートしています。
系列会社間の取引を予定している場合や、すでに取引条件をめぐる問題が提起されている場合には、初期段階から正確な事実関係の整理と法律上の検討が必要です。
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